『「儀礼」の士相見礼篇にいう。人と話をするには、相手の人の本務とすべき道に関して語るのをよしとする。すなわち人君と語るには、臣下を使う道、その辛苦などについて話し、大夫などの大人に対しては、君に事える心得、経験などにつき語り、老人に対しては、子弟はいかに使うべきかの問題を、その子弟たる幼者に対しては、その父兄に孝弟を尽くす道について語る。又一般の人々と語るときには、社会生活の原則たる忠、すなわち自己の心を尽くして人のために謀ること、信、すなわち人との約束を違えないこと、慈、すなわち人に対して温情をもつこと、祥、すなわち鬼神から福をうくべき善行などについて語り、官職についているものに対しては、とくに官として忠と信とを忘れない心得について語るべきである。』
『「曲礼篇」に人と会食するときの注意として次のようにある。人と一つの器から食するときには、自分が十分満足するまで食べない。一つの器の飯を食するときには、手をもんだり、こすったりしない。飯を手でまるめない。食べのこしの飯を元に器中にもどさない。汁物を大口にすすりこまない。口中で舌うちの音をさせながら食べない。骨付きの肉を食べるときは骨までかじらない。食べのこしの魚や肉を器の中にもどさない。骨を犬に投げ与えない。よろず独り占めにしようとしたり、先に取ろうとしたりしない。飯の熱いとき、熱気を冷やすためにこれをもち上げない。黍(キビ)は匙(サジ)で食べ、箸を用いてはならない。飯には羹(アツモノ)がつく。羹の中に菜がはいっていないときは、すすりこむが、菜があるときにはよく噛んで食べる。菜を噛まずに汁だけをすすりこんではいけない。出された羹の味が口に合わなくても、調味料を加えてはいけない。歯についたものを取り去ろうと歯をつついてはいけない。醢(シオカラ)をすすってはいけない。