貝原益軒【養生訓】より
『夜食の法』
夜食する習慣のひとは、日が暮れてからまもなく食べるがよい。夜更けになって食してはいけない。酒食の気がよく循環し、消化したあとに寝るのがよい。消化しないままに早く寝ると病気になる。
夜食しないひとでも、夕食後に早く寝てはいけない。早く寝ると食気がとどこおり病気になる。とにかく夜は活動するときではない.だから飲食しないで少しは空腹でも害はない。やむなく夜食をしなければならないときは、、なるべく早く、しかも少し食べるがよい。
夜酒は飲まないがよい。もし飲むとしても夜食と同様に早くして少しがよいのはもちろんである。
『食と栄養と』
世間では食を制限しすぎると栄養不足でやせてしまう、という。これは養生を知らないひとのいうことである。欲が多いということは人間の本性であるから、制限しすぎると思われるくらいが適当になるのである。
『腹七、八分の飲食』
飲食物に出あうと、食べたいという心が強くなって食べすぎても気づかないのは、いわゆる一般の人びとの習性である。酒、食、茶、湯など適量と思うまえに、腹七、八分のひかえめにして、いま少し不足だと思われるときにやめるのがよい。飲食がすんでからかならず腹十分になるものだ。
食べているときに十分だと思うほど食べると、食後はかならず腹がふくれすぎて病気になるのである。