『感謝で終えよう』
師走である。一年のしめくくりを感謝で終わってほしいと思っています。十一ヶ月が過ぎ十二月は、しめくくりの月であるが、十一ヶ月過ごさせていただいたことに先ず感謝することが大切であります。
「感謝」という言葉について考えてみますと、「咸」という字は、「天地」とか「つづく」という意味があり、所謂、変わることのない宇宙に存在する原理原則と不変の道理のことであります。即ち「つづいて変わりのない道理」ということであります。
「咸」の下に「心」を合体させると「感」という字が形成されます。感とは、天地の道理に叶ったことに出合うと心が大きく動きます。「感動」とか「感激」という言葉のように、正しいことに出あうと、心が激しく揺れ動くことになります。或いは、講演を聞いて感動を覚えたり、音楽を聞いて感激したりするのは、自分の人生と交差する部分があったりすからであります。また、自分自身が、知らず知らずに、正しい道理に照らし観て講演を聴いているときには、気分がその域に達したときは感動することになります。
「感応同響」という仏教用語がありますが、これは、物事を感じるときの状態を表わしたものです。例えば、電話をかけようとします。そのときは、相手が居て、電話があり、自分が居る、という三つの条件が整っているからであります。もし、相手が留守であれば目的は果せません。このように物事を感じるということは、必ずこの三つの条件が整っているときであります。
そこで「感謝」でありますが、感謝ということは必ず相手があるということです。それに応えるには「謝」の字を見ると「言」と「身」がありますから、言葉に出したり、または、身、即ち行動で表現することを教えています。感謝とは「心で感じた」だけではダメで、言葉や行動で応じなければ十分ではありません。
十一ヶ月を振り返って、少しでも感謝しなければならない方々に対して、メールではなく、手紙でも書いてみては如何でしょうか、きっと、素晴らしいしめくくりとなることでしょう。