「長屋再生」
地下鉄緑地線の松屋町駅を下車して東南の三番出口からでて右に曲がると松屋タワーがある。一階はローソンの売店である。
昨年までは工事中であったが、今年の2月に完成した賃貸マンションである。以前は旧い店舗が居並んでいたが、いまは地上二十六階建の高層住宅ビル(松屋タワー)に変身をした。
昨年まではビルの左側は長い階段になっていたが、ビル新築と同時に階段は十三段になり、そこからは緩やかな坂道になっている。
上りきったところの左側に高津原橋が見える。この橋は今里から心斎橋に通じている長堀筋にかかっている橋である。ここから西に下ると心斎橋に通じている。私が子供の頃は、心斎橋の下は川であり多くの木材か浮んでいた記憶がある。
この橋に立って遠くを眺めていると遠い昔の大阪の町が見えるような気がする。第二次大戦での大阪空襲に遭い千日前から上六まで焼夷弾で焼け野原になった。私はこの被害にあった翌日、通天閣から千日前を通り抜けて上六まで歩いたことを思い出す。通天閣の前には焼け焦げた死体が山のように積まれていて、その前で合掌したこと、千日前に大劇という劇場が焼きただれ外壁だけが残されていたこと、などを思い出す。この空襲で多くの町が消失したが、ここ空堀は焼けなかった幸運の町である。
話は戻って、上りきった正面は三階建ての歴史を感じる古い木造の家屋がある。上の写真の門構えはその入り口に当たる。この場所はマスメディアで報道されてから、休日になると何処からとなく大勢の人々が集まってくる。この家屋の中には色々の小さな店があり、またアートイベントの開催などもあり、ネオンサインの街と違って日本、本来の個性が感じられる。一度はいってみても面白いところである。