六中観(りくちゅうかん)
1、忙中閑あり
1、苦中楽あり
1、死中活あり
1、壺中天あり
1、意中人あり
1、腹中書あり
1、壺中天あり(こちゅうてんあり)
※脇屋解説(今月はこの解説をします)
これには故事がありまして、
『漢書』方術伝に、費長房という市役所の役人をしていた人が、ある日役所の二階から下を見ていると、露店商人が店を並べている。一老翁が夕方になって店をしまうのを見ていると、その老翁は後ろの城壁にかけてある壺の中に隠れて消えてしまった。それを見て、ああいうのが仙人だなと思って、翌日待ちかまえていて、老翁が店をたたむときに行って、「私は昨日、あなたが壺に消えたところを見たが、あなたは仙人だろう。
是非、私も連れて行ってほしい」強く頼み込んだ。では、ということになって、ふと気がつくと非常に景色の好い所へ出た、そこには金殿玉楼があり、その中へ案内されて大いに歓迎を受けて帰されたという話であります。
「壺中に天あり」とは、どんな境地にあっても、この話のように、自分だけの内面の世界がつくれることによって、すばらしい人生を送ることができることを教えた言葉です。例えば、文学の造詣があるとか、音楽・芸術に達しているとか、あるいは理念・信念が確りしている。または強い信仰心を持っているなどで、この俗社会を「壺中天あり」で切り抜け成功した方々は多く居られる。信念も含めて一芸に秀でることは大事なことであります。