八月の心がけ

「八月の心がけ」

 

八月の干支は、壬申(みずのえ・さる)であります。

「壬」(じん)は、「任にして、陰陽交わって懐胎なす意。このとき天が一水を生ず」と説かれています。

要訳すると、壬とは任ということで、任という意味は「陰陽交わって懐胎」とあるように、男女が結ばれて妊娠することで、『壬は、任であり、任は妊である』といという意味であり、また「任」には元々「はらむ」という解釈があり「天が一水を生ず」即ち、妊娠して新しい生命が誕生するというのが「壬」の大意であります。

 

 八月には衆議院選挙が実施されますが、国政の行方は何処に落ち着くのでしょうか、まさに「壬」の新しい生命誕生の時期に奇しくも適っています。しかし、政治とはどういう事なのかをこの機会に熟慮しなければなりません。

『五行大義巻』第四の第十九に“治政を論ず”という項目がある。その内容を挙げてみると「治政の治とは治めるということで、物ごとが秩序正しく行われることである。政とは正すということで、邪でないことを政というのである。」と、しかし、これを実行するためには、君主を立てて民衆を導き治めさせる。また善き指導者を選んで人々を正しい方向に導くことが政治であると論じている。

 この内容をよくみてみると、最初は「治政」についての理念を説いていますが、人々によって首長が選ばれて物事を治める場合になって、初めて「治政」がひっくり返って「政治」になっていることに大きな意味を感じます。

孔子は「政治をするに道徳によって行えば、北極星が動かないでその場所にいて、多くの星がそれを中心に運行するように、人々はすっかり為政者に帰服する」と教訓されています。

八月の心得は、首長の立場にある者、また、将来指導的地位を目指している者は、私心・野心・私欲だけの虜にならないように、常に克己の精神と、治政の精神に磨きをかけるように勤めることであります。

 

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